ロコモの患者は要介護者の予備軍

平均寿命が延びるにつれ、介護が必要な高齢者の数も増加しています。それと同時に、家族など周囲が背負う身体的、金銭的な負担も増えている訳です。高齢化社会を迎えた今、単に長生きするだけではなく、健康で自立した生活が送れる「健康寿命」の年齢をどうやって延ばしていくかが、大きな課題となっています。その健康寿命を縮める最大の原因とされるのが、筋肉、骨、椎間板、関節などの運動器に起きる障害です。

これらの部位はお互いに連携して働くため、どこかに不具合が出ると身体の動きに支障が出てしまいます。この状態がロコモです。ロコモは初期段階でこそ自覚症状が少ないのですが、症状が進むと、歩いたり立ったりするのが億劫になり、転倒のリスクも高まります。深刻な場合、寝たきり状態になる人もいる訳で、もし要介護者にでもなれば健康寿命もそこで終わりです。そんなロコモも早い時期に発見し、運動器の維持に努めるなら、進行を抑えたり、予防に繋げることも可能です。「ロコトレ」という予防トレーニングもあるので、取り入れると良いでしょう。

ロコモの徴候は、正座をするのが辛い、片足で立った状態で靴下を履けない、といった形で現れます。他にも15分以上続けて歩くことができない、家の中で滑ったり躓くことが多い、手摺がないと階段を上れない、青信号を渡り切れない、といった場合も要注意です。こうした時は、ロコモ外来などで専門医の診察を受けましょう。本人の生活の質を維持し、家族にも介護の負担をかけないためにも、ロコモ対策は必須です。